2009年2月16日月曜日

Relevo de la manana

Relevo de la manana(レレボ デ ラ マニャナ:朝のリレー)

カムチャツカの若者が
きりんの夢を見ているとき
メキシコの娘は
朝もやの中でバスを待っている
ニューヨークの少女が
ほほえみながら寝がえりをうつとき
ローマの少年は
柱頭を染める朝陽にウインクする
この地球では
いつもどこかで朝がはじまっている

ぼくらは朝をリレーするのだ
経度から経度へと
そうしていわば交替で地球を守る
眠る前のひととき耳をすますと
どこか遠くで目覚まし時計のベルが鳴ってる
それはあなたの送った朝を
誰かがしっかりと受けとめた証拠なのだ  

                             谷川俊太郎

はじめてであったのは、中学校の教科書だったと思う。
ただただ当り前の事実を前に不思議さを感じたのを覚えている。
なぜか私の中で、カムチャツカの若者は朝方新聞配達をしていることになっていた。朝で連想したらしい。単純な解釈しかできない私だ。
改めて読み返したのは働き始めてから。ひとつの地球に生きる大きな家族のひとりの私に出会った。

そして、いま。
青色の世界が一瞬一瞬色をかえて白々してくる朝方、
いく種類もの鳥たちの鳴き声だけに耳を澄ますことができる朝。
眠る前のひととき、灼熱の太陽のもと日に日に褐色する皮膚に
ひんやりとした風がそよぐ。
この詩をベッドの中で味わうことができる大事な静かな時間だ。
そこには強い香水の香りもない、大音量のラテンの曲もない。

コスタリカと日本の時差は15時間。
日本にいるみなさんは、私の未来を生きているのでしょうか。